建築写真を追求してみたい。
僕は田舎のカメラマンですので依頼があれば何でも受けなければ生きていけません。
様々なジャンルの撮影に対応できるように機材も揃えてきました。
これまで見て見ぬふりをして避けてきた分野が建築写真です。
お店の内外観や個人宅の撮影なんかは普段から撮影していますが、建築写真と言われるものとは撮影の仕方も使う機材も違います。
建築写真に携わろうとするのであれば、新たに高額な特殊なレンズを購入しなければなりませんし、建築物を魅力的に写すための技術も磨かないといけませんし、気象にも詳しくならないといけません。
とにかく面倒で難しくて近寄りがたいジャンルではあります。
大判カメラでアオリ撮影には取り組んできましたが、ピント面の調整に使うフロントチルトアップとフロントチルトダウン、左右のフロントスイングくらいしか使っていませんでした。
建築写真の場合に必要なアオリはほとんどシフトですね。
適切な補正具合を見つけないといけませんし、周辺画質の低下にも気をつけないといけません。
最適な絞り値の決定にも気を使います。
シフトレンズを持っていない方は「今の時代そんなのフォトショップで補正できるよ」って言いますが、どうしようもない無知ですね。
シフトレンズの使い方は高い建物の先窄まりを補正するためだけじゃないんです。
建築物には絶対的な中心が存在しますので中心でカメラを構えればそれなりの写真が綺麗に撮れます。
しかし、玄関が左端に寄っていたり、建物の横のエクステリアが特徴的だったり、玄関よりウッドデッキにこだわっていたり…、設計士さんや施主さんが想定しているもう1つの中心があるものです。
こういう中心がどこなのかを見つけ出してそこにカメラを設置します。
当然、絶対的な中心とはズレてきますので構図が左右どちらかに偏ってしまいます。
この構図の補正をシフトで行います。
これはいくら広めに撮っておいてもフォトショップで補正できるものではありません。
非常にマニアックで伝わりづらい話なのですが、これからのカメラマンにはそういう職人的なこだわりが求められてくると思います。
こだわりがないものはスマホで撮れてしまいます。
でもスマホでは撮れないものやこだわりの強いものはプロカメラマンにお金を出してお願いするしかないんです。
であればカメラマンがスマホで撮ったものと大差ないような写真を撮っていてはダメなんですね。
フォトショップでも補正できない部分にカメラマンの存在価値が残っているはず。
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